TeamBuddy

県内高校生が被災地訪問東日本大震災から11年
東北スタディツアー
“命の大切さ”を体感

ツアー統括
静岡県ボランティア協会
細貝 悠斗 さん

静岡県ボランティア協会は2021年に続き、ことしも県内の高校生を東日本大震災の被災地に派遣する「高校生東北スタディツアー」を開催した。県内各地の高校1〜3年生17人と中学校の女性教諭1人が参加。8月9日から12日の日程で岩手県の陸前高田市、大槌町、宮古市、遠野市を訪問した。引率した同協会の細貝悠斗さん(32)にツアーの狙いや現地での様子などを聞いた。

ツアーの狙いを教えてください。
静岡県でも災害が発生し、防災に対する関心は高まっています。昨年のツアーでは、多角的な視点から当時の様子を知るため、さまざまな立場の方からお話を伺いましたが、今回は「命を守る」ことについてより深く考えてもらおうと企画しました。
今回のツアーで工夫した点はどんなところですか。
事前研修会では、訪問先である「おおつちこども園」(岩手県大槌町)での出来事が描かれている絵本の読み聞かせを行いました。現地では、より「自分ごと」として捉えることができるよう、絵本に登場する園長先生からお話をしていただき、震災を「追体験」しました。
開催してみてどのような感想を持たれましたか。
コロナ禍ではありましたが、現地を訪れ、空気に触れ、生の声を聞くことでしか伝わらないリアリティを感じることができたと思います。震災から11年、その間いろいろな経験をしたみなさんの笑顔に生きる強さを感じました。
参加した高校生たちの変化について聞かせてください。
昨年同様、移動には貸切バスを利用しました。バスという空間を避難所と重ね合わせつつも楽しそうに過ごしていた彼らでしたが、現地の方の話を聞いた途端、真剣なまなざしに変わりました。「自分の大切な人を頭に思い浮かべること。そしてその人のために生きようと思うこと」。震災を経験した方からの“生の声”に命の大切さを感じていました。
2回のツアーを振り返り、若者の防災意識が向上したという手応えはありますか。
 参加者の中には昨年に続き参加してくれた生徒もおり、確実に防災の意識は育ってきていると実感しました。参加してくれた生徒たちの心には、当時の様子を語ってくれたみなさんの想いが刻まれています。彼らはこれから「かべ新聞」を制作し、その想いを多くの方に届けます。
今回のツアーを、今年3月まで岩手県の放送局にいたSBSの滝澤アナウンサーが取材しました

 「東日本大震災から11年」という月日が流れても被災者の方は、当時のことを鮮明に覚えています。同時に、当時からの苦悩も変わらずに抱きつづけたままです。それでも「悲劇を繰り返さないために伝え続けなければならない」という使命感で震災の記憶を伝えてくださいました。生徒たちは被災された方の話を心のとても深いところで吸収しているようでした。

 もともと「防災について学びたい」というモチベーションがしっかりある生徒たちでしたが、ツアーをきっかけに「家族と防災について話し合う時間を改めて持ちたい」という発言もあり、意識がより一層高まったと感じました。

 生徒たちにはきっと忘れられない体験だったと思います。静岡で想定されている巨大な地震に備えて、防災について積極的に発信してほしいと思います。私も被災地・岩手の方の声を紡いで、静岡の方に「防災の大切さ」を伝えていきます。

滝澤悠希

大槌町蓬莱島

TeamBuddy 学生部駿府城夏まつり
ナツゲキ 防災輪投げクイズ

防災を楽しく学ぼう!大学生が知識伝授

 静岡新聞SBSの防災・減災プロジェクトチーム「TeamBuddy」は8月20、21の両日、静岡市葵区の駿府城公園で開催された「駿府城夏まつり ナツゲキ」の会場内にブースを出展した。TeamBuddy学生部の一員になっている静岡大の「学生防災ネットワーク」のメンバーが防災輪投げを企画。多くの親子連れが簡単なクイズに輪投げで答えながら、防災・減災のポイントを学んだ。

 クイズは○×で答える形式。学生らは「避難所では体を動かすべきである」(正解は○)「固い地盤と柔らかい地盤では固い地盤のほうがよく揺れる」(×)「津波が発生しました!まずは川の上の丘に逃げる」(×)など9つの問題を次々と出題した。

 同ネットワーク代表の渡辺大翔さんは「子どもたちが楽しく防災輪投げをしているのを見て、やってよかったなと思った」と振り返り、副代表の瀧川理越さんは「防災輪投げをきっかけに、防災について興味をもってもらえたらうれしい」と話した。

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