防災コラム
守る
コロナで疲れた心身をいたわろう OurBuddy40
Profile
県公認心理師協会災害支援委員
香野毅さん(静岡大学教育学部教授)
新型コロナ対策の自粛期間が明けましたが、通常の生活に戻る前に、溜まってしまったストレスをケアすることが重要です。心の健康をチェックするポイントなどについて静岡大学教育学部教授で、県公認心理師協会災害支援委員の香野毅さんに聞きました。
曖昧なコロナストレス
災害ストレスは①災害そのものの恐怖②家族や自宅、生活の喪失③生活の変化や制限、の三つに起因するとされています。今回の「コロナ災害」は私たちに主に②と③のストレスをもたらしています。ただし、今回の喪失体験は死別や家の倒壊などと比べて曖昧で不鮮明。自覚しづらいだけに厄介です。
私たちは感染が広がった3〜4月にかけて、送別や出会い、卒業や入学といった区切り的な体験を失ったまま不自由な生活に突入しました。自粛生活は不便なだけでなく、自分の行動に選択権がないこともストレスを大きくしています。
心身の変化に気づく
ストレスは身体、行動、心に表れます。身体は体調や睡眠、食欲などです。行動は落ち着かない、多動、多弁になる、反対にぼーっとする、おっくうになる、子どもの場合、退行などが挙げられます。心はいらいらや不機嫌、悲しみや抑うつなどです。個人差はあるものの、誰もがコロナで心身が疲れている—。ここを出発点に、周囲の人たちの様子や、自らの言動の変化を見つめてみましょう。それだけでも自分と周りに優しくなるでしょう。
今後「警戒・予防」と「普段の生活」を両立させる「コロナとの共生」が始まります。両立のバランスについて、周囲の人と話しましょう。全員のバランスが一致するとは限らず、その差すらもストレスとなりますが、そこに気が付くだけでもストレスと自らの距離を取るヒントになります。ニュースや情報から離れる時間も意識的に設けましょう。
自分を受け止める
災害など非日常的なことに遭遇すれば、普段とは違う気持ちや行動が生じますが、それはおかしいことでも、心の弱さでもなく、自然な反応です。気持ちの変化や揺れに必要以上にあらがわず、自分のものとして受け止めることが大切です。