防災コラム
自分のそなえ、みんなのために。広がっています! TeamBuddyの輪
Profile
いつも身近にいて県民一人ひとりを相棒のようにサポートする静岡新聞SBSのプロジェクト「TeamBuddy(チームバディー)」は2016年9月のスタート以来、行政や企業、団体などとも連携し、防災・減災活動に取り組んでいます。
情報発信に加え、自治体が提供するビッグデータを活用した避難訓練アプリと、半年に1度、備蓄用食料を届ける「BuddyBox(バディーボックス)」を提供し、実際に役立つサービスで皆さんの災害への備えを応援しています。
これまでの活動で広がった「防災の輪」をご紹介します。
<静岡新聞社 ・ 静岡放送 TeamBuddyプロジェクト>
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藤浪 清さん
地域の防災イベントでBuddyBoxなどの普及、啓発を進めている静岡市葵区防災指導員
東日本大震災を受けてボランティア仲間と宮城県南三陸町などへ何回か復興支援に行きましたが、被災後の生活に欠かせない食事、防災トイレの重要性を痛感しました。BuddyBoxは食の備蓄として栄養や味のバランスがいいと感じているので、広まるとうれしいです。被災時でも食事、排せつなど普段と近い生活を維持することが大切だと呼び掛けています。
他県から見ると静岡は防災先進県と思われがちですが、一人ひとりの防災意識がまだ足りないのではないでしょうか。さまざまなケースを想定した訓練が必要と感じていて、今年は地区の住民対象に宿泊訓練を計画しています。体育館の冷たい床の上で寝る厳しさや朝食の準備なども体験してもらう予定です。地域メディアにはこのような体験を得られる機会を提供してもらえたらいいと思います。
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袋井市役所永井 宏昭さん
BuddyBoxのチラシなどを配布し、防災・減災への備えを市民に喚起している袋井市防災課主幹
市の防災担当として、去年5月に静岡新聞SBSが県と共催で実施した「大震法シンポジウム」を聴講しましたが、防災は官民が連携して取り組むことで、より良い対策がとれることを再認識しました。これからもTeamBuddy主催イベントを実施し、行政と民間の良いところを出し合って協力していけたら良いのではないでしょうか。食の備蓄は手間がかかる作業です。BuddyBoxは災害時に快適に過ごすための工夫がされていて良いと思いました。
食の備蓄や防災トイレの準備のほか、市民の皆さんには住宅の耐震化と家具の固定を促しています。これをしっかりやっておけば、助けてもらう側から助ける側に回ることができます。防災訓練は継続性が大事です。最終的に地域コミュニティーが強いところが早く復旧、復興が進みます。防災訓練だけではなく、地域の活動にも積極的に参加してもらいたいと思います。
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中村 泰介さん
静岡市を中心に、LGBTなど全ての人が自分らしく暮らすことのできる街づくりを目的に活動している団体、BEBEC代表
LGBT(性的少数者)の社会認知は徐々に広がっていますが、災害時に私たちが直面する問題は表面化しづらく、正確な情報を発信し、理解者を増やす活動をしています。毎月の連載「Our Buddy」は「全ての被災者を尊重する災害対策の重要性」を発信しているので頼もしく感じます。
地域には、障がい、国籍、セクシュアリティ、思想など多様な人が適度な距離感を守りながら暮らしていますが、災害時は誰もが同じ被災者です。その時に、人同士のつながりを再認識し“多様性”を認め合える地域であることがとても重要です。
「困ったときは分け隔てなく助け合う」という共通認識が災害に強い地域づくりにつながると思います。
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磐田市役所
TeamBuddyアプリへの更新データ提供を積極的に行っている情報政策課
オープンデータは公開して完結ではなく、できるだけ広範囲からのオープンデータをまとめて、より多くの人が使えるようにしたアプリなどで活用されて初めて価値を持ちます。メール配信サービスなど、IT技術を災害対策に生かそうと取り組む磐田市にとっては、TeamBuddyアプリは理想的な活用方法です。
多くの自治体がデータを公開・更新することで、このアプリで県内のどこにいても安心が得られることを期待します。 当市では現在、交流センターなど各地の拠点にWi-Fi整備を進めています。 普段は市民講座などで利用していただき、災害時には情報収集に活用するためです。防災の要は「自分の命は自分で守る」。 万が一に備え、防災アプリやメール配信への登録など正確な情報を複数から得るよう心掛けてください。
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BuddyBox利用者の声
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静岡市駿河区・女性(77)以前、備蓄食の消費期限を忘れて無駄にしたことがあったのでBuddyBoxの半年自動更新はとても便利です。栄養バランスを考えたり、店で買い揃えて家に運んだりする手間も省けるので車を持たない自分にとっては大助かりです。年齢的に防災訓練で積極的な活動はできませんが、地域の人たちと一緒に防災意識を高めるために参加を続けたいと思います。
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静岡市葵区・女性(68)最近、自動車の運転をやめて自転車で生活しているので、一度にたくさんの買い物がしづらく、申し込むだけで自宅に届くBuddyBoxを頼みました。半年ごとの宅配は、薄れてしまう防災意識を再び引き上げてくれるきっかけにもなると思います。食事と同じく重要なのがトイレ。自宅には10日分の簡易トイレを準備しています。このほか、現金や洗面具などを入れた非常持ち出し袋も用意して、自分でできる防災対策を進めています。
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静岡市葵区・女性(72)一緒に仕事をした方が結婚したと聞き、仲間たちと気の利いた結婚祝いをあれこれ探していたときにBuddyBoxを知りました。新生活スタートの忙しさで災害用食料の備蓄まで気が回らないだろうと思い贈ってみたところ、とても喜んでもらえました。半年後には自動的に次の食料が届く仕組みも、共働き夫婦にはぴったりで、お祝いの気持ちが十分伝わるプレゼントになりました。
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INFORMATION
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大震法シンポジウム防災について県民と直接議論する場をつくりたいと考え、静岡新聞で長期連載した「沈黙の駿河湾」取材班とともに、静岡市で「大震法シンポジウム」を開催しました。約220人を前に、県内外の専門家が大規模地震対策特別措置法の課題や現状について意見交換しました。TeamBuddyでは今後も防災をテーマに“リアルな場”での学びを提供したいと考えています。
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あざれあ交流会議総会男女共同参画を促すNPOのイベントに参加し、TeamBuddyが静岡新聞で発信した防災食のレシピを提案しました。災害時も家庭を守る女性の防災に役立つようにと、切り干し大根とワカメをごま油であえた副菜を実際に作り、試食してもらいました。TeamBuddyのホームページでは、災害時を想定してお湯だけで作るスープパスタやポリ袋を活用して炊いたご飯などのレシピを紹介しています。
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こどもみらいプロジェクト親子で楽しめる「こどもみらいプロジェクト」や「しずおか元気応援フェア」に参加し、BuddyBoxを紹介しました。親子連れには「まずは3日分の備えを」と改めて備蓄の大切さを呼び掛けたり、買い物が難しいお年寄りには半年に1度宅配する仕組みを教えたりしてPR。商品構成に携わったマックスバリュ東海の管理栄養士は、カロリー計算や塩分に配慮した工夫点を分かりやすく伝えました。