防災コラム
今も続く台風復旧支援に関心を OurBuddy 55
Profile
静岡県社会福祉協議会 福祉企画部 地域福祉課 課長
松浦史紀さん(44)
昨年9月23日に発生した台風15号。各地で歴代の降水量を更新し、河川の氾濫や、土砂崩れなどの被害を出しました。静岡県災害ボランティア本部・情報センターとして、県内各地の市町災害ボランティアセンター(災害VC)の立ち上げや、自治体などとの連携を支援した静岡県社会福祉協議会、福祉企画部地域福祉課の松浦史紀課長に、各災害VCの活動などについて聞きました。
今回の台風は死者3人、床上、床下浸水合わせて約9600棟と、県内各地に深刻な被害をもたらしました。県災害ボランティア本部・情報センターは、被災地社会福祉協議会(社協)へのスタッフの派遣、活動資機材の提供及びSNSによる情報発信の支援などにより、市町の災害ボランティアセンターを支援しています。当本部が把握している1月現在のボランティア活動者数は約9100人、市町災害VCが対応したボランティアニーズ件数は約2400件に上ります。
災害によって顕在化する福祉的課題
しかし、数字に現れない被害もあります。浜松市天竜区では11月に社協職員が個別訪問した際に、2階で生活をしている方、「50日ぶりに冷蔵庫を使った」と話す高齢者など、元通りの生活を取り戻していない住民がいることが分かりました。川根本町では、いまだに住宅からの土砂の掻き出しが続いています。被災した地域の復旧は長い時間を要しますから、街並みが元の姿に戻ったように見えても、被災地のことに関心を持ち続けることが大切です。
また、今回の被害により、元々抱えていた生活課題が顕在化し、福祉的支援が必要と分かった家庭も多くあります。
災害VCを設置することの意義
災害ボランティアセンターは地域防災計画において、行政と社協が連携した上で開設されることになっています。災害VCを設置することで、被災者には相談する先があることが伝わります。そして多くの人々に被災地でボランティアを必要としていることが分かります。災害VCの看板を掲げることで、ヒト・モノ・情報が集まるので、行政と社協は設置判断を柔軟に行うことが大切だと思います。状況によっては、通常のボランティアセンター体制での対応もありますが、災害時の円滑な連携に向けて、平時から行政と社協が地域防災計画や協定の内容について協議し、研修や訓練を一緒に行うことが欠かせません。
今回の災害では、一般ボランティアが県外から駆けつけてくれた支援団体との活動を通して技術を学ぶ機会がありました。今後は、外部の支援に頼るだけでなく、地元の人たちで主体的に支援活動をしていける体制や関係づくりを後押ししていきたいと思います。