防災コラム

自主防の取り組みを共有

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新しい防災気象情報の運用が始まるなど、防災への関心が高まっています。設立から25年、会員数延べ1400人を超える防災ボランティア団体「ふじのくに防災士会」においても、県内各地で委員会活動が活発に行われ、菊川市ではこのほど、“備え”に関し自主防災会の取り組みを共有する防災倉庫見学会が開かれました。

整然と分類・ラベリングされた防災倉庫内の機材

整然と分類・ラベリングされた防災倉庫内の機材

会場となった菊川市平尾団地は比較的新しい住宅地で、入居者たちが初期段階から慣習にとらわれない防災体制を構築してきたといいます。見学会のテーマは「補助金で何を備えればいいの?よその倉庫を覗(のぞ)いてみよう」。当日は菊川市委員会のメンバーをはじめ、住民や市内外の自主防災会役員ら約30人が詰めかけ、資機材や備蓄の説明を受けながら熱心に意見を交わしました。

資機材を機能的に整備・維持

公開された平尾自主防災会の防災倉庫には、有事の際に人の手で移動させ、水をくみ上げる可搬ポンプのほか、分類・ラベリングされた、のこぎりやハンマー、おの、約600食分の備蓄食などが機能的におさめられています。
 視察した参加者からは「ここは整備が進んでいる」「これまで各家に農機具があるからと気にしていなかった」「何から(資機材を)集めていいか」「どこに何があるか一目でわかり、自主防の担当が変わっても誰でも動かせる工夫がいい」との声が上がりました。案内役を務めた県防災士や地元関係者は、防災資機材の整備基準や自主防災会ごとの補助金限度額の確認を呼び掛けるとともに、「5年、10年たつ中で、ほこりを払うなどの細かなケアが不可欠」と、日常的な管理の重要性を説きました。
 一方、見学会では、特有の課題も浮き彫りになりました。備蓄食は約200世帯の1日分ほど。初期の分譲から約30年住んでいるという女性は立地や、単独の下水処理場が損壊した場合に触れ、「孤立する可能性もあり、トイレも困る。家庭の防災対策といった『個々の意識』を高めてもらう啓発がこれから大事」と語りました。

「個の意識改革」がカギに

同委員会の杉山哲昭代表は、「コロナ禍でつながりが希薄になった。ただ集まって、倉庫を見ながら立ち話をするような交流の中にこそ、次の活動へのヒントや若い世代が動き出すきっかけがある」と、敷居の低い「顔の見える関係づくり」の大切さを強調しました。
 県独自の講座修了者「静岡県防災士(ふじのくに防災士)」でつくる、ふじのくに防災士会(山岡美須永会長)ではこのほか、訓練の普及啓発や防災士を派遣したセミナーなどを開催。松崎町委員会はこれまでの貢献が評価され、「令和7年度静岡県地域防災活動知事褒賞(団体の部)」を受賞しています。
 南海トラフ地震への備えが急務とされる県内において、高い専門知識を持つ防災士と地域住民が対話を重ねる平尾団地の試みは、改めて今後の「持続可能な共助」のあり方を提示しています。

可搬ポンプの操作や維持管理について説明を受ける参加者

可搬ポンプの操作や維持管理について説明を受ける参加者