防災コラム
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[しずおか防災人] 被災地で学び若者の役割を再確認 OurBuddy35
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杉本 亘 さん
静岡県立大3年生。2019年7月、復興庁「復興・創生インターンシップ事業」で福島県いわき市に滞在。静岡市在住。
今年7月に派遣された福島県いわき市久之浜は津波に加えて火災の被害に遭った地区でした。漁業が盛んで、今年9月には8年半ぶりに地元魚市場での入札も始まりましたが、以前ほどの売り上げにならず関係者の生活は苦しいままです。
同地区の復興のシンボルとして地元商店会が立ち上げたコミュニティー商業施設を拠点に、同地区に約1カ月滞在し、防災などについて学びました。
海岸沿いには防波堤や緑地帯が造られ、街中には避難場所へ誘導する標識が数多く設置されるなど先の震災の反省が具体的な備えとして生かされていました。
外部の目で備え検証
インターンの仕上げとして住民の方を対象に避難訓練を行い、町内の誘導標識が効果的に配置されているか検証してもらいました。場所によって観光客などにとっては、標識の数の多さが混乱を招く恐れがあると感じたからです。「外部の目」だから気づく改善点をフィードバックすることで、現地の備えが高まればと期待しています。
一方で静岡には避難誘導の標識が少ないと感じています。防災対策には多角的な取り組みが重要で、インターンシップに参加した学生たちが被災地で学んだ知見を生かせればと思います。
社会の期待に応える
現地の方から若者への期待を強く感じました。前向きに頑張っている現地の姿を若者の感覚で体験、発信し、継続的な支援のネットワークを広げる必要があります。また「大学」という限られた生活圏を出て、防災訓練に参加するなど、地域と交流することも重要だと感じました。大学生が持つフットワークの良さやネットワークは、地域の防災力を向上させます。
日頃、地域社会とつながる機会が少ない学生を積極的に防災活動に引き込んでください。その際には、たとえ小さくても、大学生がリーダーシップを発揮できる役割を与えてほしいですね。責任を持ってやり遂げた経験は、実際の災害時に必ず役立ちます。