防災コラム
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思ったこと、声にしよう OurBuddy 52
Profile
坂本サジットさん
スリランカ出身。22歳で来日。建設会社で勤務中、右膝下を失う事故に遭う。2009年に静岡市葵区古庄にレストランをオープン。13年から同区水見色で古民家カフェも経営している。
小学生のとき、ご近所トラブルが高じて近くの家に火が付けられました。真夜中の出来事に集まった大人たちは右往左往するばかり。火の手は徐々に大きくなってきます。思わず「何を見てるんだ!みんな並べ!」と、騒ぐだけの大人を怒鳴ってしまいました。すると彼らはわれに返り井戸からバケツリレーで消火を始めてあっという間に火は消し止められました。無意識の行動でしたが、現場で必要なことを直感的にすることができたのです。
被害の深刻さSNSで叫ぶ
台風の日は経営するカフェのある葵区の水見色にいました。中山間地の、高齢者が多い地区なので万が一に備え一晩とどまりました。道は崩れ、しばらくすると停電に。電動ポンプ式の井戸を使っている家庭では断水が起こりました。自転車で市街地のレストランに戻る途中、災害とは全く関係ないインフラ工事が平然と続けられているのを見て「ここで何をやっているんだ。大変な状況の人たちがいるのに」とちぐはぐな行政の対応をSNSで叫んでしまいました。
経験生かしリーダーに
反響は大きく「実は私の地域も困っている」というメッセージが続々集まりはじめました。「6日間も泥のかき出しをしているけど、もう限界。助けて」というメッセージに突き動かされて物資提供を呼びかけたところ、店の常連さんたちによりレストランの前に水や食料などの山ができました。その地域では数回にわたって数十人の仲間と活動しました。掛川市から中学生が参加してくれたり、夕方レストランに戻ると再び物資が並んでいたり。一度動き始めると大きなパワーを出せるー。日本人の素晴らしいところだと思います。
今回は私が一歩目を踏み出しましたが、万が一次の災害が起こったら作業を経験した仲間一人ひとりがリーダーになって、困っている人に手を差し伸べてくれるでしょう。心で感じたら言葉にするだけで、もう一歩目を踏み出しているんです。