防災コラム

備える

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[しずおか防災人] 命を守る知恵を鍛える防災キャンプ OurBuddy 29

Profile

一般社団法人みらいTALK代表理事

医師 平野 浩一 さん

浜松市発達医療総合福祉センター長。友愛のさと診療所長。
浜松市を中心に、子どもに関わる多職種(医師、保健師、臨床心理士、保育士、弁護士など)が集まり2009年に「こどものより良い未来を創る会」として発足。13年に「みらいTALK」に改称し、16年から一般社団法人として活動開始。
みらいTALK / http://www.miraitalk.net/

災害時の障がい児支援は当会の大きな活動テーマです。東日本大震災で障がいがある方の死亡率が一般の方の2倍だったという調査が示すように、障がいがある方、特に子どもにとって被災後の生活は困難が多く対策が急がれています。

現在の想定では福祉避難所の開設は発災から数日後。まず一般避難所に避難することになっています。しかし障がいがある子どもに医療・福祉的なケアは待ったなしです。今のところ一般の避難所での共同生活は極めて困難になると予想されます。一般の避難所宿泊体験に障がいがある方も参加できれば事前に対応策を話し合えるのですが、こうした機会はほとんどないのが現状です。

親と子どもが一緒に福祉避難所の体育館で一晩過ごすと、さまざまな課題が浮き彫りになり、具体的な備えが身に付きます。呼吸障害の子どもは人工呼吸器の電源コンセント確保に加えて、呼吸器の作動音で周りの人の睡眠を妨げないように、居住区画を少し離れた壁の近くにする、用意したトイレが使えない子もいるので簡易トイレを使用する訓練が必要になるなど、回を重ねるたびに実践的な対策が蓄積されています。参加した保護者は自分が被災したら誰が子どもをケアするのかという大きな不安に直面し、地域の方々の理解と共助は欠かせないと改めて痛感するそうです。

私たちの持つ経験を活用し、一般の人と障がいがある人が一緒に防災キャンプに参加してもらえれば、より多くの人の命を守る避難所運営ができるはずです。

電気、水道が使えないなど実践的な想定で行う防災キャンプ

電気、水道が使えないなど実践的な想定で行う防災キャンプ