防災コラム

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「ママの防災」身近な備えが第一歩 OurBuddy 06

Profile

ふじのくに防災士 沼津市災害ボランティアコーディネーター協会所属

高良 綾乃さん

1974年生まれ 沖縄県出身 2009年から夫の転勤で三島市に在住

「ママの防災」身近な備えが第一歩

手帳のカレンダーは、主婦たちを対象にした防災教室の予定でほとんど埋まっている。熊本地震の後に講師依頼が増えて、週2回ぐらいは開催する時期もあり、この分野のニーズは高い。一般的な危機管理の優先順位とは一致しないかもしれないけど、私が呼び掛ける防災は「子どもを守るには」という母親視点がベースにある。 6年前の東日本大震災がきっかけだった。震災直後は支援物資を送るなどの後方支援だった。自分の目で確かめなければと思い、軽自動車を運転して一人で気仙沼市へ向かったけど、現実として受け入れ難い光景で言葉が見つからなかった。

防災をきちんと学ぶため、まずは沼津市の災害ボランティアコーディネーター協会の養成講座を受けてコーディネーターになった。そして去年、ふじのくに防災士の資格も取った。女性には災害のメカニズムなど難しい話よりも、エピソードを織り交ぜながら伝えることを大事にしている。たとえば「被災時、子どもにお菓子をあげることもできなくて後悔した」という具体的な話を添えると、「私も備えなければ」と思ってもらえる。普段持ち歩いているバッグの中にはポリ袋や洗浄綿、スマホの充電器など災害時にも役立つものを入れるのが習慣になっている。子どもがいると緊急事態が結構、起きるんですよ。母親の立場から防災を学んでよかったかな。

子育てで毎日忙しいお母さんには身近な対策から伝える。防災食でよく勧めるのは切り干し大根。食物繊維、ミネラルが豊富なうえ、保存性も高い。乾物はお財布にも優しいでしょ。日頃からできることを継続することが防災への近道だと呼び掛けている。何もしなければゼロなので、まずは一歩踏み出してほしい。

長泉町で開かれた防災教室でママたちに講義する高良綾乃さん

長泉町で開かれた防災教室でママたちに講義する高良綾乃さん