防災コラム
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身近な災害 備え見直す機会に OurBuddy47
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5月1日に牧之原市を襲った竜巻。新茶シーズンの茶畑や民家の屋根などに大きな被害が出ました。ふじのくに防災士でチームバディーメンバーのネパール人、マハラジャン・ナレスさんが参加した現地での復旧ボランティア活動の様子を報告します。
ネパールと牧之原市とは十数年前から国際交流を続けており、2015年の大地震の際にはいち早くネパールへの募金活動に取り組んでいただきました。「今度は私たちの出番」。竜巻被害のニュースを知り何かできることはないかと調べたところ、現地でボランティアを募集していたので、高校生の息子と参加しました。
向かった現場は140年以上続く老舗のしょうゆ会社。突風により木造の蔵など7棟が全壊していました。ネパールで起きた地震被害を思い起こすほどの惨状でした。下敷きになった昔ながらの木だるや仕込み道具などを見て、歴史が一瞬のうちに失われたことに気付かされました。
チームワークに感動
呼び掛けに集まったのは、地元住民をはじめ、消防団、大学の先生や学生など約80人です。炎天下、まずはがれきの撤去に取り組みましたが、効率的な手順を話し合い、助け合いながら作業を進める日本人のチームワークに感動しました。しょうゆ会社の方たちは「皆さんの活動で心が前向きになれた。次の災害では、自分もボランティア活動に参加したい」と話していました。
発災直後は、茶園の被害が主に報道されていましたが、実際の被害は海岸に近い地域から広範囲に広がっていました。SNSを活用し、支援を求める地域に的確に人員を振り分ける仕組みづくりの重要性も感じました。
助け合う気持ち育てる
災害は地域を破壊しますが、その災害が人と人をつなげ、助け合う気持ちを育てることも事実です。平時から個人と組織・団体が連携していれば、支援態勢の素早い立ち上がり、活動の効率化が可能になります。残念ながら「次の災害」は必ず起きます。その時にどれだけの助けの手を差し伸べられるか―。今回の災害を、身の回りの防災を見直す機会にしてください。