防災コラム
何度も失敗して鍛えよう防災力!体育館で避難所生活を体験
Profile
お産ラボ防災部 ふじのくに防災士
増本 恵子
親子が冬の避難所生活を体験 重要なのは食よりトイレ
このほど「お産ラボ防災部」は静岡県立大小鹿キャンパス体育館で親子避難所キャンプを実施しました。題して「親子避難所Camp2025〜冬の避難所TKB」。総勢34組81人の親子が参加しました。TKBはトイレ、キッチン、ベッドの頭文字です。災害時、避難所での生活で重要な事柄を順番に並べています。
多くの人は災害が起きると水や食料の心配をしますが、のどの乾き、空腹は一定期間我慢することが可能です。しかし、トイレはどうでしょう。災害により上下水道管や、トイレ室そのものが壊れると、私たちはプライバシーを守りながら衛生的に排泄することが難しくなります。排泄という生理現象はコントロールが困難で、無理やり我慢を続けるとすぐに体調が崩れてしまいます。そこで今回の訓練では段ボールを使った「防災トイレ」の作り方、使い方を学びました。県立短期大福祉防災ゼミの学生を講師に迎え、段ボールを使って大人が乗っても壊れないほどの強度があるトイレを作っていきました。
楽しい夕飯の後は寒さと慣れない環境との戦い
トイレの次はキッチン、食事の準備です。新聞紙を折って耐熱ビニールをかぶせてお皿に、牛乳パックを切り抜いてスプーンを作りました。栄養バランスを考え切り干し大根を野菜ジュースで戻してサラダを作り、ジャガイモのお菓子をお湯で柔らかくして丸めたポテトボールも添えました。楽しそうに調理に取り組む子どもたちを保護者らが見守りました。
訓練を開いたのは2月初旬。避難所生活のリアルを体験してもらうために体育館に暖房は入れませんでした。参加者たちは冷え切った体育館の床に敷いた段ボールやマットレスの上で寝袋に入りましたが、寒さに加え他の人が歩く足音や、いびきなどでなかなか眠れなかった参加者も多く「テントがないとプライバシーが確保できない」といった感想が聞かれました。
体験訓練、次回は5月17日に実施
訓練していないことは本番でできるわけがありません。今回の避難所訓練でも参加者は多くの失敗を経験しましたが、失敗したことが実践で生きたスキルとして役立ちます。これからも災害弱者になりがちな子育て世代が中心となって、各地で避難所宿泊訓練にチャレンジし、災害が起きたとき、在宅避難をすべきか、避難所に身を寄せるべきかを正しく判断できるようになればいいなと思っています。
次回は、2025年5月17日(土)、18日(日)に静岡県立大学小鹿キャンパスで「乳幼児を守る!親子避難所Camp~初夏の避難所TKB~(トイレ・キッチン・ベッド)」を開催予定です。静岡市助産師会・清庵助産師会(清水区)・しずおか子育て防災ネットワークと災害時の乳幼児支援をしている団体と一緒に実施する親子避難所Campです。「災害時、赤ちゃんを連れてどうしよう?乳幼児がいる家庭の防災必需品は?」といった疑問を参加者みんなで解消していきます。おむつがない時の代用品、ビニール袋おむつや乳幼児支援者を交えて災害時の不安を共有する防災座談会を開催します。